子宮内膜症とは、子宮の内側にしかないはずの内膜(生理で月経血として身体の外に出る)が、その子宮内膜とは違う場所にで増殖と剥離(はくり)を繰り返して、痛みを引き起こしたり、不妊の原因となったりします。
子宮内膜にできないので、生理で流れていく事はありません。
これが元で命にかかわることはありませんが、月経痛や性交痛を伴う事があります。
一般の女性では5~10%の頻度でみられるとされるのに対し、不妊の女性では20~40%にみられ、不妊の原因になっているのでは?と考えられています。
根本療法は子宮、卵巣の摘出となるが、妊娠もできなくなってしまうため、子どもを持ちたい女性では選択しません。
妊娠すると生理が止まり治療の1つになります。
チョコレート嚢胞ができないようにすることが大切です。
月経回数が多いほど発症リスクが多くなる病気であり、早めの初潮、晩婚化、子どもを産まない選択をする人が増えた現代では月経回数が昭和初期に比べて格段に多くなり、内膜症になるリスクも増えてきています。
①癒着(ゆちゃく)
子宮内膜症が卵管を巻き込むと卵管機能低下、ピックアップ障害になる事も。
たとえ、ダグラス窩癒着のような重症であっても、卵巣、卵管に癒着がない場合は妊娠率はあまり低下しないとされている。
②卵巣チョコレート嚢胞
子宮内膜以外にできた内膜より毎月出血した血液が吸収されず、徐々にたまりそれが古くなるとチョコレートを溶かしたような色になる。それがチョコレート嚢胞。
原始卵胞は、卵巣の表面近くの皮質に詰まっているが、チョコレート嚢胞は卵巣内に溜まった血液が月経のたびに繰り返し炎症や周囲の癒着を起こしている状態。
③内膜症病変そのもの
子宮内膜組織からプロスタグランジンやサイトカインのような物質が分泌され、卵管機能、卵胞発育、黄体形成あるいは受精を障害するという説がある。
内膜症の方は腹水が貯まっていることがよく見られるが、この腹水にサイトカインが高い濃度で検出されます。
サイトカインは炎症が起こった時に産生されるタンパク質。
正常な細胞にも障害をもたらせます。
5センチ以上のチョコレート嚢胞は妊娠する前に摘出するのが望ましいとされています。
それは、チョコレート嚢胞が大きいと、そのまま妊娠し子宮が大きくなった場合、チョコレート嚢胞が破裂してしまう場合があるからです。
大変な痛みがありますし、卵巣から出血もしているので緊急オペになる可能性も。
大きなリスクがあります。
体外受精を検討されている場合、下記のような処置になる事があります。
・先に採卵し、受精卵を凍結しておいてからチョコレート嚢胞の手術をして胚移植。
しかし、チョコレート嚢胞がある方は良い卵胞がとれないことが多いので、何回か採卵することになります。
また、採卵せずにチョコレート嚢胞の手術をする場合でも、チョコレート嚢胞は吸引するだけに留めて、周囲の癒着を剥がす手術をする。
そうすると再発のおそれはあるが、再発して嚢胞が大きくなる前に採卵し、妊娠を目指します。
⇒AMHをなるべく下げないように治療します。
※もちろん医師とよく相談してください。
子宮内膜症は激しい生理痛を伴う事が多いです。
同じ場所が痛むというのは、漢方では「オ血」があると考えられます。
「オ血」というのは、血の滞りです。
単純に滞っている可能性もあります。
しかし、オ血の原因は様々あります。
血虚(血の量や栄養が不足している状態)からきている、気滞(気の滞り、ストレスなど)からきている、冷えからきてる場合、気血両虚(気も血も不足している状態)、水滞(水の滞り)からきている場合などなどです。
またこれらが組み合わさっている事もあります。
折衝飲のような痛みをとりつつ、活血(血の滞りを改善させる)ようなお薬を使う事が多いです。
しかし、冷えや血虚などがベースにある場合は、これだけではありません。
また、冷えがある方は日常生活で冷えやすい生活習慣をお持ちの方が多いです。
湯船に浸かる生活も、私達が子供の頃は普通でしたが、シャワーが普及し仕事で忙しい共働きのご夫婦だと、ついつい数年シャワー生活でされている方も。
少し手間ですが、湯船に浸かる生活習慣にして、冷えにくい身体を作っていくのも大切です。
また、ストレスなどもよくありません。
とはいえ、仕事でストレスを抱える事もありますよね。
カウンセリングでストレスを軽減させていくのも1つの方法です。