検査に行くと、人工授精を飛ばしてすぐに「体外受精」を勧められる事があります。
そんな時はショックを受けてしまう方もおられますが、何かしらメリットがあるから体外受精を勧められえいます。
ではどんなメリットがあると考えられるでしょうか。
妊娠は精子と卵子が受精してそれが着床する事で成立します。
この精子と卵子の距離を縮めるのが体外受精のメリットです。
精子から見れば、子宮を抜けて卵管膨大部までの距離は相当な距離です。
子宮頸管から子宮、そして卵管膨大部までたどり着く頃には、多くの精子が脱落し、数十~数百になっていると言われます。
精子の数が少なくて卵子に出会うところまで行かないなどは、直接卵子を取り出して受精させるのでメリットがあります。
また、ピックアップ障害(キャッチアップ障害)などもあります。
これは排卵した卵子を卵管がうまく取り込めない状態をさします。
卵子と精子は卵管膨大部で出会うシステムになっていますが、排卵した卵子を卵管が取り込めないとそもそも出会う事ができません。
この問題を体外受精では解消してくれます。
こういった卵子と精子が出会うところをショートカットするので、ここにトラブルがあるような方にとっては体外受精はとても有効な治療となります。
また、ちゃんと受精するかどうか、受精した卵子が育つかどうかもわかるので、治療しつつ検査の役割も担ってます。
排卵誘発とは排卵を促すための薬で、タイミング療法の時などにも使用されます。
体外受精や顕微授精での排卵誘発剤は、数多くの卵胞を育てるために使用されます。
多くの卵胞を育てれば、子どもになれる卵子が育ってる可能性が高まります。
これはどういう事かというと、通常は1個の卵子が排卵されます。
これは多くの卵胞が180日かけて育っていき、淘汰され、たった1個の主席卵胞が排卵されます。
これを仮にオーディションとした場合、この主席卵胞はどうやってオーディションで選ばれるのか?
「そりゃ、質の良い卵胞が選ばれるんじゃないの?」
と思いがちですが、どうやら『一番早く大きくなった卵胞』が選ばれるそうです。
『質』ではありません。
そして、残りの卵胞達は消滅していきます。
もしかしたら、この消滅していった卵胞の中に一番質の良い(子どもになるレベル)の卵胞があるかもしれませんよね?
子どもでも小学生の時にすっごく大きかった子が大人になったら別に普通の身長だったって事ありますよね。それと同じ・・・ではないですが、成長途中だとわからないですよね。
体外受精で複数個卵胞を育てる方法は、この2番手3番手の卵胞まで育てて受精させようというのが体外受精のメリットの1つです。
卵胞が複数個取れれば、子どもになれる卵子が混じっている可能性が高まります。
しかし、AMHの値が低いことや高齢のため、この複数個育てる刺激法を選択できない場合もあります。
人工授精でもそうですが、洗浄精液あるいはスイムアップ精子を用いる事で精子濃度をアップさせたり、運動率も改善します。
また、顕微授精においては捕まえた精子に対して刺激を与えたりする事により、成功率を高めるようにしています。
なので、特に顕微授精においては培養士の方の腕がとても重要になってきます。